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だいぼさつとうげ
大菩薩峠3
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠3(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 214,131 字 · 423 頁
そんならばことによると、自分が持って来た品物の中に、あの書付が残っているかも知れぬ。お絹は葛籠をあけて証文箱を取り出しました。
忠作と別れる前から、お絹は末の見込みのないことを知って、自分の物は廻しておきました。大切の証文も幾通りか逸早く取纏めて持って出ました。
「有った有った、これに違いない」
と皺をのばした一通の証文は、一金五十両也と書いて、女軽業太夫元かくという名前にしてあったから、それであの女が軽業師の興行人であり、その名をかくということまでお絹は知ることができました。こうなってみると、お絹はそれやこれやを種に、二人をいじめつけてやらなければ納まりません。
その晩は寝ながらも、この仕組みのことばかり考えていました。
先刻、耳に入れた話、何か預かり物の一件、生娘だとかお邸奉公だとか言っていたが、あれは何、それを種に使えまいか。そうして店へ入る時に言ったのは、長者町の道庵という剽軽な医者へ預けることにしたという言葉。
「よしよし、道庵が入るならば芝居が栄える」
その翌日、お絹は十二分の好奇心を以て長者町の道庵先生を訪れました。
「先生、今日伺ったのはほかのことではございませんが、先生の身の上にありそうもない噂を聞きましたから、それで念のためにお聞き申しに上りました」