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だいぼさつとうげ

大菩薩峠3

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠3(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 214,131 字 · 423 頁

青空文庫

金助は手を洗いに行ってから、席へ戻ってこう言いました。

「それじゃ神尾がここへ来ているのだろう、どこにいるか当ってみねえ」

「よろしうございますとも」

金助は得意の腕を見せるのはこの時だと思って、

「それでは役割、ここは拙者が引受けますから、お開帳の方へは一人でお出かけなすっておくんなさいまし」

それとは知らず別の座敷で神尾主膳は、

「苦しうない、お君、初対面ではあるまいし馴染の上の其方、遠慮は要らぬ」

馴染と言われてお君は思わず面を上げました。しかし、どう思い返しても、こんなお侍に馴染と呼ばれるほど、贔屓にされた覚えはありません。

「お前の方で見覚えのないのも無理はない、こちらではよく覚えている。伊勢の古市の備前屋でお前の面を見て、よく覚えている。珍らしいところで会ったからそれで昔馴染のような気がしてツイ、そちをここへ呼んでみる気になったのじゃわい」

「まあ左様でございましたか、伊勢の古市で……」

そこでお君も思い当る。思い当ったけれども、古市で呼ばれた客の数は多数であります、このお侍がそのうちのドノお客であったかということは、お君の記憶に残っていませんでしたけれども、あの時分に贔屓を受けたことのあるお客とすれば、やっぱりそれでも昔馴染。