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だいぼさつとうげ

大菩薩峠7

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠7(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 242,044 字 · 477 頁

青空文庫

「福兄さん一人で来たのかエ、誰もお連れはなかったかエ」

「ええ、どなたもお連衆はありませんようでした」

「あってみようか知ら」

小娘は唄の本を箪笥へ載せて、勝手元を働こうとするのを、お角が呼び留めて、

「そっちはあとにして、二階のお嬢様に御膳を上げて下さい」

「承知いたしました」

この小娘は、お角が掘り出して貰い受け、今、仕込み最中の、ちょっといい子で、お母さん呼ばわりをして懐いています。膳ごしらえをして二階へ上ったあとで、お角は巻帯をズルズルと解いて、着物をきがえにかかりました。

藍の小弁慶のお召の半纏を着て、鏡に向って立膝をしながら、洗い髪の兵庫に、黄楊の櫛を無雑作に横にさして立ち上るところへ、二階から小娘が下りて来ました。

「梅ちゃん、わたしは、これから行って来るから、お留守を頼みますよ」

「行っていらっしゃいまし」

「もし留守の間に、誰か尋ねて来ても、わからないと言って帰しておくれ」

「よろしうございます。それでもお母さん、いつかのように、わからなければ旦那のお帰りまで待っていると言って、坐り込むような人が来たらどうしましょう」

「そうね。では、面倒だから鍵をかけておしまい」