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だいぼさつとうげ

大菩薩峠7

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠7(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 242,044 字 · 477 頁

青空文庫

娘は泣きながら弁信をたしなめるのも無理はありません。ここと巣鴨の庚申塚とは、数十里を離れているのに、当人は半ばは病気で、その上に目の光を奪われている身であるのに――

それでも竜之助は、弁信のいったことを、娘が気にかけているほど気にかけないと見えて、

「かわいそうなことをした」

といったきりで、口を結んでしまいました。

「御免下さいまし、また上ります」

といって、娘は泣きながら、庫裡の方へ帰ってしまったあとで、竜之助は蒲団の下に敷いて寝ていた白鞘物の一刀――殺されたという女が記念にくれた――それを取り出して膝へ引寄せました。引寄せてみたところでどうなるものか、この刀に、その女の魂魄が残っているわけではあるまいし、といって、見えぬ目の前にいる見えぬ同士の弁信を、どうしようというのでもあるまい。五十丁峠から陣馬へかかるところで、みちに迷うて行きつ戻りつしていた駕籠を、無事にこっちへ引向けて、予定通りこの月見寺へ導いて来たのは、ほかならぬお喋り坊主のおかげではなかったか。

その弁信法師は、この時分、もう再び琵琶をかなでるの元気はなくなったと見え、そうかといって、それを蔵おうでもなく、しょんぼりとして縁先に坐ったままです。