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だいぼさつとうげ

大菩薩峠7

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠7(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 242,044 字 · 477 頁

青空文庫

「ちぇッ」

杖槍と、提灯とを、ひっかかえて来たけれども、この提灯へ火を入れることを忘れていた。

「どこから来た」

辻番は穏かならぬ面色で咎めると、米友は舌打ちをしながら、

「相生町の御老女の屋敷から来て、小石川の伝通院の学寮へ帰るんだ、火を貸しておくんなさい」

米友は火の入っていない提灯を、辻番所まで持ち込むと、

「それ」

ちょっと億劫がった辻番が、投げ出すように火打道具を貸してくれる。

「カチカチ」

「ちぇッ」

「カチカチ」

燧を打つ手先が戦いて、ほくちを取落してはひろい上げ、ようやく附木にうつすとパッと消える。

「ちぇッ」

焦れ立った米友の挙動を見ていた辻番が、

「それでは燧金がさかさだ」

「ええいッ」

やっとのことで火は提灯へ入ったが、手先が、やはりわなわなとふるえている。

「なるほど」

辻番は提灯に現われた「伝通院学寮」の文字をありありと読んで、やや得心が行ったように、

「何を慌てているのだ」

米友の挙動には、不審が晴れない。

「何でもねえんだ、どうも有難う」

そうして走り出すと、

「おい、待たっしゃい」

呼び留めた辻番、振返った米友。

「何か包を落したぞ」

「うむ、そうだ」