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だいぼさつとうげ
大菩薩峠7
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠7(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 242,044 字 · 477 頁
お君様のくれぐれの遺言もございますから、このことをどうぞして殿様に一言お知らせを致したいと苦心致しましたが、私共の手ではどうしてもわかりません。ふと思いつきましたのはこのムクのことでございます。ムクは強い犬で、りこうな犬ですから、ムクを放してやれば、殿様にこのことをお伝えすることができるかと思いまして、このように取計らいましたのは、本所相生町の御老女様の屋敷にいる松でございます。
若様のお名は能登守の一字を戴いて『登』様と仮りに私が申し上げていることをお許し下さいませ――」
その手紙を持ったままで駒井甚三郎は、自分の部屋へ入ってしまいました。そうして、寝台の上に身を横たえて、頭から毛布をかぶって枕を上げません。程経て金椎が、その扉を押してみたけれどもあかない、叩いてみたけれども返事がありません。
常に、ことわられていることは、研究に熱心の際は外物のさわりがある。扉に錠を卸した時には、軽く叩いてみて返事がなければ入るなと、こう命ぜられてあるから、金椎はその掟を守って引返しました。
引返して見ると、使命を帯びて来た巨犬は、神妙に以前のところに控えている。