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だいぼさつとうげ

大菩薩峠7

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠7(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 242,044 字 · 477 頁

青空文庫

「お客様でございます」

「誰か」

福村が肥った身体を大儀そうに起すと、

「百蔵さんとおっしゃいます」

「ナニ、がんりきが来たか」

福村も起き上っておちつかない心持、お絹も思わず本をさしおく。

「そうら、腕のある話がハズミ過ぎたものだから、腕のない奴がやって来た――まあ仕方がない、来たものを帰れともいえまい、帰れといっても帰る奴ではない、かまわぬ、ここへ通せ」

女中が出て行ったあとで、福村とお絹とが面を見合わせる。

「奴、何の用で来た、今時分」

「何の用ですか」

二人はうす気味の悪い心持でいると、そこへ案内されたのは、

「へえ、これはお二方、永らく御無沙汰を致してしまいました」

「ナーンだ、金公か」

五分月代に唐桟の襟附の絆纏を引っかけて、ちょっと音羽屋の鼠小僧といったような気取り方で、多少の凄味を利かせて、がんりきの百蔵が現われることを期待していると、意外にも、それはおっちょこちょいの金公でしたから、二人も拍子抜けがしているのを、委細かまわず金助は、

「ちょっと旅に出ていましたものですから、つい、何しまして……御無沙汰を仕りました」

「どこへ出かけていた」

「お馴染の甲州街道筋をぶらついて参りました」