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だいぼさつとうげ

大菩薩峠7

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠7(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 242,044 字 · 477 頁

青空文庫

昨晩、女が血相変えて飛び出したのを、留めてみたのもこの番頭で、あの前後のことをうすうす知っているから、只今の巫女の出鱈目がこの上もなく気になって、席に堪えられなくなったものと見える。

番頭がぼんやりして帳場へ坐り込んでいるところへ、今朝早立ちをした仏頂寺弥助が先に立ち、後ろには戸板に人を載せて人足に担がせて、ドヤドヤと店頭へ入り込み、

「塩尻峠の上でちっとばかり怪我をしたから戻って来た、また厄介になるぞ」

番頭は、この時、面色が土のようになり、よく戻っておいでになりましたともいいませんでした。

十六

さてまたここは江戸の下谷の長者町。道庵先生は何を感じたものか、俄かに触れを廻して、子分のならず者や、近処のワイワイ連を呼び集めました。

何事ならんと馳せ集まった者共を前に置いて、先生は薬研の軸を斜に構え、

「皆様、早速お集まり下さいまして……」

先生としては、極めて鄭重な物のいいぶりでしたから、集まったものが、少し様子が変だと思いました。

変だと思ったのも無理はありません。こういう場合において先生は、いつも野郎共呼ばわりをして傍若無人に振舞うのに、今日に限って、皆様だの、お集まり下さいましてだのと、改まり方が急激でしたから、集まったものも、あんまりいい気持がしませんでした。