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だいぼさつとうげ
大菩薩峠7
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠7(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 242,044 字 · 477 頁
その時の思い出が、女を堪えがたい羞恥と感謝とに導く。
「そのとき助けたのは、拙者ではない、助けようと思ったのも拙者ではござらぬ。もしその時、そなたたちを助けようとした人、助け得た人があったとすれば、それは弁信といって、安房の国から出た口の達者な、やはり眼の見えない小坊主の働きじゃ。拙者は人を助けはせぬ、助けようともしなかったのみならず……」
「いいえ、もうおっしゃらなくてもよろしうございます、なんとおっしゃってもわたくしは、現在あなた様に助けられているのですから」
女はひとり、それを身にも心にも恩に着ているのであった。人の過ちは七度これを許せと、多数の私刑者の中に絶叫して歩いたのは、竜之助の言う通り、安房の国から出た弁信という口の達者な、目の見えない小坊主であった。しかるにその人は感謝を受けないで、この人がひとりほしいままに女の心中立てを受けている。怨み必ずしも怨みではない、徳必ずしも徳ではない。外では雨の音。
「さて」
と刀を取って引き寄せようとしたのは、待たしてある駕籠のことを慮ったのでしょう。
「まあ、お待ち下さいませ、まだよろしうございます、かまいませんです、みんな家の者同様の人たちなんですから」