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おおさかのゆううつ
大阪の憂鬱
織田 作之助
線上閱讀織田 作之助《大阪の憂鬱(おおさかのゆううつ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 6,647 字 · 14 頁
型を避けたいとは思う。しかし、大阪の闇市場のことを書くとすれば、やはり猫の如く、杓子の如く、いや鸚鵡の如くこの紋切型に負けてしまうのだ。
「何でも売っている」と。
なぜなら、大阪の闇市場の特色はこの一語に尽きるからである。
例えば主食を売っている。闇煙草を売っている。金さえ持って闇市場へ行けば、いつでも、たとえ夜中でも、どこかで米の飯が食べられるし、煙草が買えるのである。といえば、東京の人人は呆れるだろうか、眉をひそめるだろうか、羨ましがるだろうか。
勿論、警察の手入れはある。主食と闇煙草の販売を弾圧する旨の声明は、わざわざ何月何日よりと予告を発して、これまで十数回発表されたし、抜打ちの検挙も行われる。が依然として、街頭のパンやライスカレーは姿を消さず、また、梅田新道の道の両側は殆んど軒並みに闇煙草屋である。
六月十九日の大阪のある新聞に次のような記事が出ていた。
「大阪曾根崎署では十九日朝九時、約五十名の制服警官をくり出して梅田自由市場の煙草販売業者の一斉取締りを断行、折柄の雑沓の中で樫棒、煉瓦が入れ交つての大乱闘が行はれ重軽傷者数名を出した。負傷者は直ちに北区大同病院にかつぎ込み加療中。