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おおさかをあるく

大阪を歩く

直木 三十五

線上閱讀直木 三十五《大阪を歩く(おおさかをあるく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 32,964 字 · 65 頁

青空文庫

一番いい方法は水を充たして水族館にすることだが――文学にさえ冷淡な、大阪市民に、美術館を与え、与えっ放しで教育もしない所が、役人の役人たる所以であろう。

年度末になって予算が余ると、不用な品を買込んで、一文も残らず使ってしまうのが日本の役所である。そうしないと、来年の予算を同額だけもらえぬというのであるが、凡そ、この位、人民を踏みつけにした考え方はない(例を云えというなら、いくらでも挙げてやる)。

朝十時に出て、午食に休み、四時に退出して十五年勤めると恩給である。東京市の一課長は三十年間勤めて、年額七千七百円の恩給をとっている。日本の重役とか、官吏とかは、皆こういう人間である。美術館など、本当に市と、市民のことを考えるなら、そんな金の使途は、いくらもある筈である。東京には、こんなのが威張っているから癪であるが、大阪は、いくらか、その色が薄いので、だんだんすきになってきた。

都市の面目を考えるなら、美術館を建てる金で、梅田駅前を、清潔にするがいいし、市民に美術教育を与えるつもりなら、矢野君の美術学校へ援助でもするがいい。何か、事があったら、一々、私の所へ相談にきてもらえまいか?