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おおさかをあるく
大阪を歩く
直木 三十五
線上閱讀直木 三十五《大阪を歩く(おおさかをあるく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 32,964 字 · 65 頁
多くの概念ばかりを、私はかいてきたが――実は、私は、もう少し、大望を起したのである。ただ、ぶらぶらと歩いて、見て、書いたって仕方がない。大阪の歴史を――私の故郷の出来事を、諸君の町に嘗ていた人の伝記を――そんな物を、書いたら、何うだろうか、と。私は、歩くだけでなく物を調べてから、歩いてみたくなってきたのである。
大阪物語へ
私は、宿から、近いので、よく心斎橋から、道頓堀を歩くが、そして、今まで、書いてきたようにいくらか、歩いては考えるが、戎橋の本当の名は、何というのか? と、人に聞かれたら、一寸、困るだろうと、思う。
「戎橋は、戎橋や」
と、云っても、大抵の人には、いいであろうが、この名は、俗称で、本当の名は、別にあるのである。
千日前には、三勝半七の墓がある。然し、誰も、何処にあるのか知らないであろうし、そして、三勝と半七との、本当の事件も、多くの人は知らないであろう。私はただ、歩いて、現在の事を見、論じるだけでなく、こうした古い事も、調べて歩いてみたくなってきた。
大阪中の隅から、隅まで――それは、その町内の人が、気にもとめないところに、おもしろい話もあろうし、其話に対する、私流の批判――神武天皇東征の時から、明治まで――こういう事は、私の得手では無いが、毎月五七日、大阪へきて、こつこつと調べ、読む