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ぐじんのどく

大雷雨夜の殺人 他8編

小酒井 不木

線上閱讀小酒井 不木《大雷雨夜の殺人 他8編(ぐじんのどく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 27,456 字 · 55 頁

青空文庫

そうして、保一くんは悲しくも未亡人の死に目に遭ったのでした。

きよ子嬢と保一くんが死体に取りすがって泣いているとき、あなたはひょっこり奥田家を訪れました。そうして未亡人の死を聞いて非常に驚き、亜砒酸の中毒ですよと大声でお言いになりました。それから死体をちょっと診て、すぐさま家に帰り、死亡診断書をお書きになりました。病名のところに明らかに亜砒酸中毒としてありますので、それが当然警察の活動を促し、ついに未亡人の死体は解剖されることになり、前後の事情から、健吉くんは真っ先に拘引されて取調べを受けることになりました。どうです。わたしがいままで述べてきたことは間違いがございましょうか」

こう言って津村検事はハンカチで額を一撫でして、ちょっと署長のほうを振り返り、次に山本医師の顔を眺めた。両者とも異議がなかったと見え、ただ肯定的にうなずくだけであった。訊問室はしばらくの間しーんとして、蝉の声がキニーネを飲んだときの耳鳴りを思わせるように響いてきた。

「ところで」

と、検事は二、三回ばたばたと扇を使い、ぱちりとすぼめて言葉を続けた。

「健吉くんを取り調べましたところが、母に亜砒酸を与えた覚えは断じてないと申しました。