輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
だいきょしほうでん
太虚司法伝
田中 貢太郎
線上閱讀田中 貢太郎《太虚司法伝(だいきょしほうでん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 7,847 字 · 16 頁
その夜叉の鼾の声が聞えてきた。大異はこの間に逃げなくてはいけないと思った。大異は夜叉と頭をなくして倒れている死骸の方をつらつらと見た後で、そろそろと木をおりた。夜叉の鼾は林の中へ響きわたるように聞えていた。大異は跫音のしないように夜叉の枕頭を通って、すこし往ったところで走りだした。
大異は野の明るい所を選んで足の向くままに走った。百足ばかりも往ったところで、後の方で物の気配がした。大異は走りながらちょっと後の方を見た。かの夜叉が赤い大きな口を見せて追っかけてくるところであった。大異ははっと思って死力を出して走ったが、このままでは夜叉に追っつかれるので木へあがろうと思って、ちかちかする眼をせわしく動かして前の方を見た。五六本の木立があって、その下に家の屋根のような物が見えた。大異は喜んでその方へ走った。
簷の傾いた荒寺が草の中に立っていた。夜叉の喘ぐ呼吸づかいがすぐ背後で聞えた。大異はそのまま荒寺の中へ入って往った。
一条の月の光が朽ち腐れて塵の中に埋れている仏像などを照らしていた。大異はどこか隠れる所はないかと思って注意した。壇の上に仁王のような仏像が偉大な姿を見せていた。