輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

しっちょうき

失蝶記

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《失蝶記(しっちょうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 22,072 字 · 44 頁

青空文庫

聴力を失ってから、考えることが心の内部へ向くようになっていたためでしょうか、子供っぽい云いかたかもしれないが、赤くふくらんだ石楠花の蕾を見たとき、しんじつ胸の奥に火でも燃えだすような感じがしたのです。――ちょうど五年まえ、上町にあるあなたのお屋敷の裏を、私は杉永幹三郎と話しながら歩いていました。ご存じのように、私とは少年時代からの親友で、ものごころのつくじぶんから、片時もはなれたことがないといってもいいでしょう。年は同じで、生れ月は彼のほうが半年ほど早かったが、彼は私を兄のように扱ってくれました。二人だけのときはもちろん、他人のいるところでも。そして、それを言葉にも態度にもはっきりあらわすのです。思い返してみると、育英館の塾で三年いっしょでしたが、そのころから始まったようで、たぶん彼の人柄のためでしょう、いかにもしぜんなものですから、私のほうでも知らぬまにそれを受入れる習慣が付いてしまったようです。癸亥の年の密勅の件からはじまったこんどの事でも、杉永がつねに私の意見を支持したため、われわれ同志の者の行動はよく一致し、離反者などは一人も出さずに済みました。