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きかいなさいかい

奇怪な再会

芥川 竜之介

線上閱讀芥川 竜之介《奇怪な再会(きかいなさいかい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 20,996 字 · 43 頁

青空文庫

四

道人は薄赤い絹を解いて、香炉の煙に一枚ずつ、中の穴銭を燻じた後、今度は床に懸けた軸の前へ、丁寧に円い頭を下げた。軸は狩野派が描いたらしい、伏羲文王周公孔子の四大聖人の画像だった。

「惟皇たる上帝、宇宙の神聖、この宝香を聞いて、願くは降臨を賜え。――猶予未だ決せず、疑う所は神霊に質す。請う、皇愍を垂れて、速に吉凶を示し給え。」

そんな祭文が終ってから、道人は紫檀の小机の上へ、ぱらりと三枚の穴銭を撒いた。穴銭は一枚は文字が出たが、跡の二枚は波の方だった。道人はすぐに筆を執って、巻紙にその順序を写した。

銭を擲げては陰陽を定める、――それがちょうど六度続いた。お蓮はその穴銭の順序へ、心配そうな眼を注いでいた。

「さて――と。」

擲銭が終った時、老人は巻紙を眺めたまま、しばらくはただ考えていた。

「これは雷水解と云う卦でな、諸事思うようにはならぬとあります。――」

お蓮は怯ず怯ず三枚の銭から、老人の顔へ視線を移した。

「まずその御親戚とかの若い方にも、二度と御遇いにはなれそうもないな。」

玄象道人はこう云いながら、また穴銭を一枚ずつ、薄赤い絹に包み始めた。