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ようば

妖婆

芥川 竜之介

線上閱讀芥川 竜之介《妖婆(ようば)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 37,473 字 · 73 頁

青空文庫

――が、どこかその顔立ちにも、痛々しい窶れが見えて、撫子を散らしためりんすの帯さえ、派手な紺絣の単衣の胸をせめそうな気がしたそうです。泰さんは娘の顔を見ると、麦藁帽子を脱ぎながら、「阿母さんは?」と尋ねました。すると娘は術なさそうな顔をして、「生憎出まして留守でございますが。」と、さも自分が悪い事でもしたように、を染めて答えましたが、ふと涼しい眼を格子戸の外へやると、急に顔の色が変って、「あら。」と、かすかに叫びながら、飛び立とうとしたじゃありませんか。泰さんは場所が場所だけに、さては通り魔でもしたのかと思ったそうですが、慌てて後を振返ると、今まで夕日の中に立っていた新蔵の姿が見えません。と、二度びっくりする暇もなく、泰さんの袂にすがったのは、その神下しの婆の娘で、それが息をはずませながら、一生懸命な声で云うのを聞くと、「あなた。今の御連れ様にどうかそう仰有って下さいまし。二度とこの近所へ御立寄りなすっちゃいけません。さもないと、あの方の御命にも関るような事が起りますから。」と、こう切れ切れに云うのだそうです。泰さんは何が何やら、まるで煙に捲かれた体で、しばらくはただ呆気にとられていましたが、とにかく、言伝てを頼まれた体なので、「よろしい。