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ようば

妖婆

芥川 竜之介

線上閱讀芥川 竜之介《妖婆(ようば)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 37,473 字 · 73 頁

青空文庫

の団子坂下です。しかも車掌がベルの綱へ手をかけながら、半ば往来の方へ体を出して、例のごとく「御乗りですか。」と声をかけたじゃありませんか。私は車掌台のすぐ近くにいましたから、すぐに窓から外を覗いて見ました。と、外は薄雲のかかった月の光が、朦朧と漂っているだけで、停留場の柱の下は勿論、両側の町家がことごとく戸を鎖した、真夜中の広い往来にも、さらに人間らしい影は見えません。妙だなと思う途端、車掌がベルの綱を引いたので、電車はそのまま動き出しましたが、それでもまだ窓から外を眺めていると、停留場が遠くなるのに従って、今度は何となく私の眼にも、そこの月の光の中に、だんだん小さくなって行く人影があるような気がしました。これは申すまでもなく、私の神経の迷かもしれませんが、あの先を急ぐ赤電車の車掌が、どうして乗る人もない停留場へ電車を止めなどしたのでしょう。しかもこんな目に遇ったのは、何も私ばかりじゃなく、私の知人の間にも、三四人はいようと云うのです。して見ると、まさか電車の車掌がその度に寝惚けたとも申されますまい。現に私の知人の一人なぞは、車掌をつかまえて、「誰もいないじゃないか。