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ようふ
妖婦
織田 作之助
線上閱讀織田 作之助《妖婦(ようふ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 6,892 字 · 14 頁
安子はしばらく喋っていた後、
「明日もしうちのお父つぁんに逢ったら、今夜は本郷の叔母さんちへ泊って田舎へ行ったって、そう云って頂戴な」
そう言づけを頼んで、風の中へしょんぼり出て行ったが、足はいつか明神様へ引っ返していた。二度目の明神様はつまらなかったが、節分の夜らしい浮々したあたりの雰囲気に惹きつけられた。雑閙に押されながら当てもなし歩いていると、
「おい、安ちゃん」と声を掛けられた。
振り向くと、折井という神田の不良青年であった。折井は一年前にしきりに自分を尾け廻していたことがあり、いやな奴と思っていたが、心の寂しい時は折井のような男でも口を利けば慰さめられた。
並んで歩き出すと折井は、
「どうだ、これから浅草へ行かないか」
一年前と違い、何か押しの利く物の云い方だった。折井は神田でちゃちな与太者に過ぎなかったが、一年の間に浅草の方で顔を売り、黒姫団の団長であった。浅草へゆくと、折井は簪を買ってくれたり、しるこ屋へ連れて行ってくれたり、夜店の指輪も折井が買うと三割引だった。
「こんな晩くなっちゃ、うちへ帰れないわ」
安子が云うと、折井はじゃ僕に任かせろと、小意気な宿屋へ連れて行ってくれた。