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ふじんとぶんがく
婦人と文学
宮本 百合子
線上閱讀宮本 百合子《婦人と文学(ふじんとぶんがく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 180,792 字 · 351 頁
をどんなに珍重したろう。称讚しないものは、文学を知らないものであるという風に、その「叩きこんだ芸のうまさ」を欣仰した。けれども、人間の自然として、やがて芸道讚そのものに疑問がもたれはじめた。そして、荷風の芸術の世界が、現実へ働きかける人間の意欲を反映していないことに不満がもたれて、能動精神というフランス渡来の主張が伝えられるようになった。
一九四六年にめぐりあった荷風の役割も、このくりかえしであった。ともかく芸術らしさのある作品で、高く低い様々の読者層の興味をひく作品、そしてその作者が戦争協力者でないことの確実な作家。――そして荷風が登場したのであった。
作品として見たとき、戦争は間接に荷風の芸術にも作用したことが感じられた。荷風が戦争から無関係らしいところに自身を置くことが出来た、というそのことは、日本じゅうの人々の痛苦から荷風は無関係であったこと、日本じゅうの不如意、空腹、涙から荷風は離れた人であることを犇々と感じさせた。「ひかげの花」の作者が十何年かの年を重ねたというだけではない、自分だけの生きかたをするものの枯渇が、荷風のデカダンスそのものを老衰させ、艷のぬけ、意力の欠けたものとしていることが発見されたのであった。