輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
おんなけいず
婦系図
泉 鏡花
線上閱讀泉 鏡花《婦系図(おんなけいず)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 172,760 字 · 343 頁
足を縮めるのを、早瀬は瞳を据えて屹と視た。
四十九
早瀬はその水薬の残余を火影に透かして、透明な液体の中に、芥子粒ほどの泡の、風のごとくめぐる状に、莞爾して、
「面白い!」
と、投げる様に言棄てたが、恐気も無く、一分時の前は炎のごとく真紅に狂ったのが、早や紫色に変って、床に氷ついて、飜った腹の青い守宮を摘んで、ぶらりと提げて、鼻紙を取って、薬瓶と一所に、八重にくるくると巻いて包んで、枕許のその置戸棚の奥へ、着換の中へ突込んで、ついでにまだ、何かそこらを探したのは、落ちた蛾を拾おうとするらしかったが、それは影も無い。
なお棚には、他に二つばかり処方の違った、今は用いぬ、同一薬瓶があった。その一個を取って、ハタと叩きつけると、床に粉々になるのを見向きもしないで、躍上るように勢込んで寝台に上って、むずと高胡坐を組んだと思うと、廊下の方を屹と見て、
「馬鹿な奴等! 誰だと思う。」
と言うと斉しく、仰向けに寝て、毛布を胸へ。――鶏の声を聞きながら、大胆不敵な鼾で、すやすやと寝たのである。
暁かけて、院長が一度、河野の母親大夫人が一度、前後して、この病室を差覗いて、人知れず……立去った。