輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
おんなけいず
婦系図
泉 鏡花
線上閱讀泉 鏡花《婦系図(おんなけいず)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 172,760 字 · 343 頁
鰻屋の前を通って、好い匂がしたと云っても、直ぐに隣の茶漬屋へ駈込みの、箸を持ちながら嗅ぐ事をしない以上は、速断して、伊勢屋だとは言憎い。
主税とても、ただ通りがかりに、露店の古本の中にあった三世相が目を遮ったから、見たばかりだ、と言えばそれまでである。けれども、渠は目下誰かの縁談に就いて、配慮しつつあるのではないか。しかも開けて見ている処が――夫婦相性の事――は棄置かれぬ。
且つその顔色が、紋附の羽織で、の厚い内君と、水兵服の坊やを連れて、別に一人抱いて、鮨にしようか、汁粉にしようか、と歩行っている紳士のような、平和な、楽しげなものではなく、主税は何か、思い屈した、沈んだ、憂わしげな色が見える。
好男子世に処して、屈託そうな面色で、露店の三世相を繰るとなると、柳の下に掌を見せる、八卦の亡者と大差はない、迷いはむしろそれ以上である。
所以ある哉、主税のその面上の雲は、河野英吉と床の間の矢車草……お妙の花を争った時から、早やその影が懸ったのであった。その時はお蔦の機知で、柔能く強を制することを得たのだから、例なら、いや、女房は持つべきものだ、と差対いで祝杯を挙げかねないのが、冴えない顔をしながら、湯は込んでいたか、と聞いて、フイと出掛けた様子も、その縁談を聞いた耳を、水道の水で洗わんと欲する趣があった。