輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
きせつのしょくぶつちょう
季節の植物帳
佐左木 俊郎
線上閱讀佐左木 俊郎《季節の植物帳(きせつのしょくぶつちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 4,671 字 · 10 頁
○
春の訪れを最も早く感ずるのは、あらゆる野草のうちで福寿草が一番早いような気がします。朝の縁先に福寿草のあの黄金色の花が開いているのを見ると、私達はなんとなく新春の気分に浸って来ます。また、それとは反対に、春になっても、福寿草の花が咲かないと、陽春の季節を迎えた気分にはなれないのです。
○
福寿草は暖かい花です。そして明るい花です。あの黄金色に輝く花が、緑の縮緬のような、すがすがしい茎の上に、可愛らしいあの明るい顔を擡げると、私達は去年から重ねて来た着物を、一枚へらさねばならないことを感ずるのです。その時の私達は、明るい晴れやかな心になって、福寿草とともに、涙含ましい気持ちで春の陽光に感謝しています。
○
福寿草はどうかすると、非常に哀れっぽく見えることがあります。そんな時の私達は、きっと、襟をかき合わせ、眉を寄せて寒空を見上げているに相違ありません。庭の捨て石や蹲み石のもとに植えられた福寿草は、よく自然の趣を見せてくれます。けれども、あの肌寒い春さきの風が、思わず障子を閉めさせる時、本当に歔欷いているのではないかと思われるほど、微かに顫えながら哀しい表情をしています。