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あんごのしんにほんちり

安吾の新日本地理

坂口 安吾

線上閱讀坂口 安吾《安吾の新日本地理(あんごのしんにほんちり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 24,085 字 · 48 頁

青空文庫

背後に箱根の天嶮をひかえた小田原は戦争向きかも知れないが、すでに時世の城ではござらんな。二十里東方に江戸という太田道灌築城の地がござる。入海に面し、広大な沃野の中央に位しております。また沃野の奥深くから流れてくる河川の便にも恵まれております。四周に豊かな生産地をもち、水陸の交通輸送の便に恵まれている江戸の地ほど、新時代の城下に適したものはござらん。ぜひここを居城となさい」

と、きわめて誠意ある忠告をしたという話が残っている。

政宗も実は石巻の日和山に築城したかったのだという話がある。なるほど、ここは仙台よりも水陸輸送の便があり、みのり豊かな北上平野を背後にひかえて、当時に於ける物産と交通の中心地点たるに適したところである。政宗の考えでは、意地のわるい狸オヤジのことだから、たぶん第一候補地を否決するだろうと思い、第二候補の仙台青葉山を第一候補にあげて築城を願いでたら、意外にもアッサリと第一候補を許可されたので、志とちがって、仙台を城下にせざるを得なかったという説がある。真偽は当てにならないが、北上平野は政宗が家臣の領地にも与えなかった直轄の穀倉地帯であり、その産物を運ぶために大運河をほって北上川の河口を石巻にうつしたところを見ると、石巻を物産と運輸の要点と見ていたことは頷けるのである。