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あんごのしんにほんちり

安吾の新日本地理

坂口 安吾

線上閱讀坂口 安吾《安吾の新日本地理(あんごのしんにほんちり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 15,973 字 · 32 頁

青空文庫

というのは三人目の末弟に皇位を譲りたい下心があったからだそうだ。長兄は兄の方が可愛いいと答えたが、次兄は天皇の心を察して弟の方が可愛いいと答えた。天皇はよろこんで、次兄の言葉は正しい。一番下の子が可愛いいものだ。だからお前らには皇位をゆずらず、三番目の末ッ子を天皇にするよ、と言い渡した。しかし、天皇崩御のとき末ッ子が辞退して次兄に皇位をゆずった。この次兄が仁徳天皇だそうだ。こんな話が記紀にあるから、親も好みのアトツギを選ぶには子供に気兼ねがあったのだろう。選定相続は概して末ッ子に譲ることになり易い。末ッ子が一番可愛いいのが大概の親の気持らしいな。また末ッ子の母が一番若くて美人で、お気に入りなのも自然だろう。昔は子供の母がたいがい一々違っているから、尚さら事はメンドウであったね。

長子相続は大化改新からだそうだが、どうだかね。しかし、いきなり壬申の乱が起ったほどだから、どうも天皇家の相続はうるさいね。藤原一族が勢力を得て、銘々が自分の娘を嬪だの夫人だのというものにして自分の血縁を天皇に立てようと企むに至って、相続のたびに、否、常に相続をめぐって、お家騒動の絶え間なき連続のようなものだ。