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あんごのしんにほんちり
安吾の新日本地理
線上閱讀坂口 安吾《安吾の新日本地理(あんごのしんにほんちり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 22,723 字 · 45 頁
そしてそれから二代後に、火事で家宝や系図の類を焼いてしまったのである。
それから四代後の多門房行高の時には、
「死に臨んで遺言するが、わが家は修験であるから、何事があっても軍事にたずさわってはならぬ」
という堅い戒めを残した。以後の子孫がこの遺言をまもり、諸家から招請をうけても先祖の遺言だの、病気だのと称してどうしても動かなかったので、無事今日までコマ神社を守ることができたのである。まことに可憐な系図であった。
多門房などと称するのは先祖の一人が役の行者を信仰して修験道に入り、その後代々信仰がつづいたからで、コマの子孫が山岳宗教と結ぶのは教義をはなれて血のツナガリがあったからであろう。この民族の大部落や統治国であったと思われるところには、概ね三山信仰を見ることができる。その三山の中心に居住やミヤコを定めているのである。
コマ村は後の子孫が山伏になったのだから、コマ村本来の三山信仰がなく、したがって三山もないようだ。しかし日和田山という特にさしたる美も威厳もない低山が一ツ特別あつかいにされているようだ、すると古墳の山などと結んで昔は三山があったのかも知れない。