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あんごのしんにほんちり
安吾の新日本地理
線上閱讀坂口 安吾《安吾の新日本地理(あんごのしんにほんちり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 22,723 字 · 45 頁
というテンデンバラバラの家族的な移動は、日本の諸地に無数にあったものと想像しうるのである。
もとより、新羅人や百済人の来朝移住も多かった。南鮮と九州もしくは中国地方の裏日本側とを結ぶ航海が千数百年前に於ても易々たるものであったことは想像に難くない。いかなる猛獣や毒虫が住むかも知れぬ原始の山野を歩くのに比べれば、南鮮と北日本を結ぶ航海の方ははるかに易々たるものであったに相違ない。
戦後の今日、朝鮮からの密輸や密入国は発動機船を用いているらしいが、それは監視船の目をくぐるに必要な速力がいるための話で、まだ沿岸に監視の乏しかった終戦直後には大昔と変りのないアマの小舟でさかんに密輸や密入国が行われ、それで間に合ったのだ。別に監視のあるわけでもない大昔には、アマの小舟で易々と、また無限に入国して、諸方に定住し得たのは自然であろう。
遠く北鮮の高句麗には、南鮮と北九州北中国を結ぶような便利はないが、今日、密輸入密入国の一基地はウラジオストックに近い北鮮の羅津あたりにもあって、小舟によって潮流を利用したり、または潮流を利用して荷物を流す方法もあるという話であるが、荷物を流すのはとにかくとして、潮流を利用するというカンタンな航海法、もしくは出航後自然に潮流に乗ってしまったという航海の可能性は十二分に考えられるのである。