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たぬきじる
完本 たぬき汁
佐藤 垢石
線上閱讀佐藤 垢石《完本 たぬき汁(たぬきじる)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 133,158 字 · 273 頁
蛤は一箇の代銀二厘六毛、貝の縦の長さ二寸が標準であった。小鳥は、十羽の代が銀一分七厘三毛。蕨は、一把五十本束代銀五厘二毛、などというのであった。
けれど市中の物価というものは、常に一定しているものではない。宮中のご用品も相場に支配される訳のものであったが、その買入値段を上下させることは幕府がこれを許さなかった。これが所謂『安政の本途値段』と称するものである。
こんな訳で、お賄方の役人共は、もう不当の値段で物を買い入れたり、賄賂を貪ったりできなくなったが、こんどは、やたらに節約の実行をはじめた。まことに、面にくきことであったのである。つまり、前任者が年に一万両の予算を費ったとすれば、次の年の役人は九千五百両で仕上げ、その次の役人は九千両に節約して、宮中の費用を縮めるのを手柄とした。そして、この功により食祿の加増や、栄転を目的にしたのであった。
そうでない奴は、買物の中からカスリを取ろうとした。その手段は、買入の品物の品質を落として値段の鞘を取った。
待宵の鱠
『本途値段』は元来、安永時代の相場で作ったのであるから、それから何年かたつに從い何れの品物も、本途値段と隔たりが生まれてくるのは当然である。