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たからづかおいたちのき
宝塚漫筆
小林 一三
線上閱讀小林 一三《宝塚漫筆(たからづかおいたちのき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 26,995 字 · 53 頁
悲哀な快楽がムクムクと胸の底を突くと、心臓がいささか高なる、呼吸が迫るようになると、セセラめく微苦笑が浮んでくる。同時に、せめてもの慰みというのであろうか、昂然として、私には想像の自由が許されている、何人にも許されている、と、その意識的態度は俄かに濶歩となって、数十歩帝国ホテル側へ、数十歩有楽座側へ、靴音高く、ゆきつ戻りつ、アーニイ・パイルのネオンを見上げながら、私の空想は若い時代の夢を回顧せざるを得ないのである。
五線紙型のネオンサインを、東京宝塚劇場の屋上高くかかげて、ドレミハソラシドの音律を、省線の電車の窓から、数百万の青年子女に唄わしめんとした私の計画は、新聞紙の広告をはじめとし、あらゆるポスターに楽譜の輪郭を描いて、宝塚を象徴せしめたのである。可愛いい音楽女学生は、その楽譜を読みながら唄う。
『希望は遠し武庫の川
流はつきじ永遠に
水玲瓏の粋をくむ
われ等は乙女一途に
歌劇の国の宝塚』
私はこの、ソソミドソラソ。ラシドシラレミレの校歌を、電車に乗合せて聞いた時ぐらい嬉しかったことはない。同時に、それはやがて、帝都の中心地点丸の内に、東宝芸能本陣を組織的に大成せしむる確信を得たるのみならず、それを実行せしめ得たのである。