輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

いえ

家

島崎 藤村

線上閱讀島崎 藤村《家(いえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 141,411 字 · 285 頁

青空文庫

こう三吉は心に繰返して見た。これはお雪が旧い男の友達から、彼女へ宛てて寄した手紙の中の文句で。

言うに言われぬ失望が、ふとこの手紙を読んだ時から、三吉の胸に起って来た。長く艱難を共にしながら、これ程妻が自分を知らずにいたか、と彼は心にナサケなく思った。のみならず、全く心の持方の違った、気質も異なれば境遇も別な、こういう他人の手紙の中から、どう妻の心を読んだら可いか、第一それからして思い迷った。

ポンポン音がする。煙は風に送られて、柳の花のように垂下った。三吉はションボリ立って眺めていた。

「叔父さん――」

と声を掛けて、正太がズカズカ階梯を上って来た。

急に三吉は沈鬱な心の底から浮び上ったように笑った。正太と一緒に坐って、兜町の方の噂を始めた。

「塩瀬の店も駄目だそうだネ」と彼が言って見た。

「豊世からでも御聞きでしたか」と正太は叔父の方をキッと見て、「私が兜町へ入る頃から、塩瀬というものは実は駄目だったんです。外部を弥縫していましたから、店に使われる者すら知らなかった。幹部へ入ってみて、それが解った。いよいよあの店も致命傷を負いました。銀行からは取付を食う、得意は責めて来る――そう成ったら、実にミジメなものですよ。