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いえ
家
島崎 藤村
線上閱讀島崎 藤村《家(いえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 126,748 字 · 254 頁
何だか急に恋しく成って来た……」と復た記者が懐かしそうに言った。
三人は眺め入った。
「小泉君」と西は思出したように、「君は何時までこんな山の上に引込んでいる気かネ……今の日本の世の中じゃ、そんなに物を深く研究してかかる必要は無いと思うよ」
三吉は返事に窮った。
「しかし、新聞屋さんもあまり感心した職業では無いね」と西は言った。
「君は又、エジトルだって、そう見くびらなくッても可いぜ」と記者が笑った。
西も笑って、「あんなツマラないことは無いよ。み給え、新聞を書く為に読んだ本が何に成る。いくら読んだって、何物も後へ残りゃしない。僕は、まあ、厭だねえ。君なんかも早く切上げて了いたまえ」
「君はそういうけれど、僕は外に仕方が無いし……生涯エジトルで暮すだろう……これも悪縁でサ」と言って、記者は赤皮の靴を鳴らして、風の寒いプラットフォムの上を歩いてみた。
下りの汽車が来た。少壮な官吏と、少壮な記者とは、三吉に別れを告げて、乗客も少ない二等室の戸を開けて入った。
「この寒いのに、わざわざ難有う」
と西は窓から顔を出して言った。車掌は高く右の手を差揚げた。列車は動き初めた。