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よせとしばいと
寄席と芝居と
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《寄席と芝居と(よせとしばいと)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 26,084 字 · 52 頁
それでも松助のおしのと相俟って、息もつけないような面白い芝居を見せていた。この時は中幕に「鎌倉三代記」が出て、菊五郎の三浦、福助の時姫、芝翫の佐々木という顔揃いで、それも一つの呼び物となった為か、興行成績は頗る好かった。
そこで、新富座ではその年の十月興行に又もや円朝物の「名人長次」を出すことになった。いつの代でもそうであるが、一つ当たるととかくに追い掛けたがるのが芝居道の癖である。円朝の続き話には外国の翻案物が数種あるが、これもモウパッサンの「親殺し」の翻案で、円朝の作としては余り面白いものではなく、円朝物もだんだん猟り尽くされた形であった。狂言の名題は「指物師名人長次」、主なる役割は坂倉屋助七、長次の弟子兼松(松助)坂倉屋の娘おしま(福助)亀甲屋幸兵衛(市蔵)幸兵衛の女房おりう(秀調)指物師長次(菊五郎)等で、差したる見せ場もない芝居だけに問題にもならなかった。
三十年十一月には、菊五郎が市村座で「塩原多助」を再演している。今日と違って、五、六年間に同じ狂言を繰り返すのは、よくよくの当たり狂言でなければならない。菊五郎の塩原多助が如何に人気を呼んでいたかが想像される。