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かんえいぶどうかがみ

寛永武道鑑

直木 三十五

線上閱讀直木 三十五《寛永武道鑑(かんえいぶどうかがみ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 12,633 字 · 26 頁

青空文庫

半兵衛は、鍵屋の横の物置の中へうんとつんである枯松葉の中へ、どっと、倒れてしまった。

九

身体中が、疼痛に灼けつくようであった。咽喉が干いて全身に熱が出て、気が時々、遠くなった。

手当をし、介抱し、薬をつけ、飲ましてくれる人の顔がぼんやりとしか、見えなかった。そして半兵衛の頭も、どんよりとしていて、時々、自分が槍で、荒木と戦っているのが見えた。

(立派に戦ったぞ。槍でなくとも、立派に――あの枯松葉で、滑りさえしなかったら、勝負は、もっと、長くなったのだ。俺には、二度不運がつづいた。だが、十分に戦ったぞ。この事を、国許へ――手紙をかきたいが、誰か――話でもいいから、誰か――)

ぼんやりしてくる頭の中で、そんな事を、思いながら

「わしは、卑怯者でないと」

一人が、首を延して、口許へ耳を寄せた。

「国許へ――立派に戦ったと」

その人が、頷いた。

「背の傷は――倒れてから――斬られた」

「全く、あいつは卑怯な――」

と、その人が答えた。

「国許へ、半兵衛は、荒木と太刀打をしたが、立派に戦ったと――」

「しかと申しますぞ。気を落さずに」

「妻にも、半兵衛は、荒木に劣っていなかったと――」