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どんぐり
寺田寅彦随筆集 第一巻
寺田 寅彦
線上閱讀寺田 寅彦《寺田寅彦随筆集 第一巻(どんぐり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 203,161 字 · 412 頁
主家の前の植え込みの中に娘が白っぽい着物に赤い帯をしめてねこを抱いて立っていた。
自分のほうを見ていつにない顔を赤くしたらしいのが薄暗い中にも自分にわかった。
そしてまともにこっちを見つめて不思議な笑顔をもらしたが、物に追われでもしたように座敷のほうに駆け込んで行った。
その夏を限りに自分はこの土地を去って東京に出たが、翌年の夏初めごろほとんど忘れていた吉住の家から手紙が届いた。
娘が書いたものらしかった。
年賀のほかにはたよりを聞かせた事もなかったが、どう思うたものか、こまごまとかの地の模様を知らせてよこした。
自分の元借りていた離れはその後だれも下宿していないそうである。
東京という所はさだめてよい所であろう。
一生に一度は行ってみたいというような事も書いてあった。
別になんという事もないがどことなくなまめかしいのはやはり若い人の筆だからであろう。
いちばんおしまいに栗の花も咲き候。
やがて散り申し候とあった。
名前は母親の名が書いてあった。
四 のうぜんかずら
小学時代にいちばんきらいな学科は算術であった。
いつでも算術の点数が悪いので両親は心配して中学の先生を頼んで夏休み中先生の宅へ習いに行く事になった。