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からすうりのはなとが

寺田寅彦随筆集 第三巻

寺田 寅彦

線上閱讀寺田 寅彦《寺田寅彦随筆集 第三巻(からすうりのはなとが)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 213,804 字 · 425 頁

青空文庫

的なスケルツォが使われる。第四章がたいてい急テンポのロンドやソナタ形式のものになっている。そこで今試みに歌仙の一つを取って考えてみると、少なくも私だけの感じでは、形式的にも最初の表六句は一つの楽章を作り、次に裏の十二句が又一つの楽章、次に二の表の十二句が第三楽章、そうして最後の六句が第四の終局楽章を形成していると言ってもたいした無理な比較ではないような気がするのである。この比較の当否は二段としても、試みにこういう考えを仮設してもう少し比較を進めてみたらどうなるか。

まず第一楽章六句はおのずから温雅で重厚な気分に統一されている場合が多いようである。ここでは神祇釈教恋無常の活躍は許されない。テンポで言えばまずアンダンテのような心持ちである。第二楽章十二句になるとよほど活発にあるいはパッショネートになって来て、恋をしたり子をかわいがったり大病をしたり坊主になったりする。しかし全体のテンポは私にはむしろ緩徐に感ぜられ、アダジオのような気持ちがする。ところが第三楽章の十二句になると、どうもだいぶ気が軽くなり行儀がくずれてはれた足を縁へ投げ出したり物ごとにだだくさになったり隣家とけんかをしたり雪舟の自慢をしたりあばたの小僧をいやがらせたり、どうもとかくスケルツォの気分が漂って来る場合が多いようである。