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からすうりのはなとが
寺田寅彦随筆集 第三巻
寺田 寅彦
線上閱讀寺田 寅彦《寺田寅彦随筆集 第三巻(からすうりのはなとが)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 213,804 字 · 425 頁
繰り返して言ったように創作の心理と鑑賞の心理は別だからである。しかし全く別々で縁がないかと言うとそう簡単でもない。それは意識の限界以上で別々になっているだけで、その下ではやはり連絡していると思われるからである。この点についてはさらに深く考究してみたいと思っている。ともかくも一度こういうふうに創作心理を分析した上で連句の鑑賞に心を転じてみると、おのずからそうする以前とはいくらかちがった心持ちをもって同じ作品を見直すことができはしないか。そうして付け合わせの玩味に際してしいて普遍的論理的につじつまを合わせようとするような徒労を避け、そのかわりに正真な連句進行の旋律を認識し享楽することができはしないかと思うのである。
専門の心理学者ことに精神分析学者の目で連句の世界を見渡せばまだまだおもしろい問題や材料は数限りもなく得られるであろうと想像される。そういう方面の学者でこの日本独特の芸術の分析的研究に手を着ける人が一人でもできれば喜ばしいことである。
(昭和六年八―十月、渋柿)
六 月花の定座の意義
連句の進行の途上ところどころに月や花のいわゆる定座が設定されていて、これらが一里塚のごとく、あるいは澪標のごとく、あるいは関所のごとく、また緑門のごとく樹立している。