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からすうりのはなとが

寺田寅彦随筆集 第三巻

寺田 寅彦

線上閱讀寺田 寅彦《寺田寅彦随筆集 第三巻(からすうりのはなとが)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 213,804 字 · 425 頁

青空文庫

本来ならば実に退屈で到底見ていられそうもない筋と材料を使って、そうしてちっとも退屈させないで緊張をつづけて行くのは映画としての編成の上に至るところ非常に気のきいた取り扱い方があるおかげであろう。そうして、それが簡単に一口に説明のできないようなところにうまみがあるからである。最後のオペラの場面でも、二つの向き合ったロージュと舞台との交錯した切り合わせ方の呼吸などがそれである。あれをもう少し下手にやろうものならおそらく見るに堪えない退屈なものになるにちがいない。

ソビエト映画「全線」というのを見た。これも肝心な所が省略されているそうであるが、それでもおもしろくなくはない。牛乳びんがいっせいに充填されて行くところだとか、耕作機械の大分列式だとか、これらは子供にもおとなにも、赤にも白にも、無条件におもしろい何物かをもっている。映画のそもそもの始めに見物を喜ばせた怒濤の実写などが無条件におもしろがられたのは、決して単に珍しいというだけの好奇心の満足ではなくてやはり映画芸術に本質的な随一の要素の一つを具備しているからであろう。牡牛の死ぬる前後のところも単なる実写的の真実に対する興味のほかに、映画としての取り扱い方のうまさは充分にある。