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からすうりのはなとが
寺田寅彦随筆集 第三巻
寺田 寅彦
線上閱讀寺田 寅彦《寺田寅彦随筆集 第三巻(からすうりのはなとが)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 213,804 字 · 425 頁
自分の持って行く句稿を、後には先生自身の句稿といっしょにして正岡子規の所へ送り、子規がそれに朱を加えて返してくれた。そうして、そのうちからの若干句が「日本」新聞第一ページ最下段左すみの俳句欄に載せられた。自分も先生のまねをしてその新聞を切り抜いては紙袋の中にたくわえるのを楽しみにしていた。自分の書いたものがはじめて活字になって現われたのがうれしかったのである。当時自分のほかに先生から俳句の教えを受けていた人々の中には厨川千江、平川草江、蒲生紫川(後の原医学博士)等の諸氏があった。その連中で運座というものを始め、はじめは先生の家でやっていたのが、後には他の家を借りてやったこともあった。時には先生と二人対座で十分十句などを試みたこともある。そういうとき、いかにも先生らしい凡想を飛び抜けた奇抜な句を連発して、そうして自分でもおかしがってくすくす笑われたこともあった。
先生のお宅へ書生に置いてもらえないかという相談を持ち出したことがある。裏の物置きなら明いているから来てみろと言って案内されたその室は、第一、畳がはいであってごみだらけでほんとうの物置きになっていたので、すっかりしょげてしまって退却した。