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からすうりのはなとが
寺田寅彦随筆集 第三巻
寺田 寅彦
線上閱讀寺田 寅彦《寺田寅彦随筆集 第三巻(からすうりのはなとが)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 213,804 字 · 425 頁
なんとなく物すごい感じのするものである。昔西洋の雑誌小説で蛾のお化けの出るのを読んだことがあるが、この目玉の光には実際多少の妖怪味といったようなものを帯びている。つまり、なんとなく非現実的な色と光があるのである。これはたぶん複眼の多数のレンズの作用でちょうど光り苔の場合と同じような反射をするせいと思われる。
蛾の襲撃で困った時には宅の猫を連れて来ると、すぐに始末が着く。二匹いるうちの黄色いほうのやせっぽちの男猫が、他にはなんの能もない代わりに蛾をつかまえることだけに妙を得ている。飛び上がったと思うと、もう一ぺんにはたき落とす。それからさんざんおもちゃにしたあげくに、空腹だとむしゃむしゃと食ってしまうのである。猫の神経の働きの速さとねらいの正確さにはわれわれ人間は到底かなわない。猫が見たら人間のテニスやベースボールはさだめてまだるっこくて滑稽なものだろうという気がするのである。それで、かりに猫の十分の一秒が人間の一秒に相当すると、ねこの寿命が八年ならば人間にとっては八十年に相当する勘定になる。どちらが長生きだかちょっとわからない。
これは書物で読んだことだが、樫鳥や山鳩や山鴫のような鳥類が目にも止まらぬような急速度で錯雑した樹枝の間を縫うて飛んで行くのに、決して一枚の木の葉にも翼を触れるような事はない、これ