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しょうせつ えんちょう
小説 圓朝
正岡 容
線上閱讀正岡 容《小説 圓朝(しょうせつ えんちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 163,270 字 · 325 頁
いまとちがってひと晩にせいぜい五人か六人しかでなかったそのころの寄席、みんなが二席ずつタップリとやれば、どうやら時間はもつことができた。
が――。
さすがに、目貫のいい寄席では、圓朝のトリなんて鼻もひっかけてはくれなかった。
そこの寄席、かしこの寄席と掛合って歩いた末が、駒込の炮碌地蔵前の、ほんのささやかな端席だった。それが初めて圓朝のトリを肯ってくれた。しょせんが師匠がかえってきて喜んで貰うべく報告にいけるほどの結構の寄席じゃなかったけれど、せめても師匠の留守のうち、このくらいのことはこっそりしておいて、よくやったお前といわれたかったのだった。それに初めて招き行燈へ上げた「三遊亭圓朝」の五文字。
薄寒い秋の日暮れ、その寄席の前へ立ってその五文字を眺めたとき圓朝は、鏡の中の我れと我が顔をほれぼれと見入っている思いで、いつ迄もいつ迄もその前を立ち去ることができなかった。
ねがわくば楽屋入りなんか止しにしてしまって、ひと晩中この寄席の前へ立ったまんま、ジーッとこの招き行燈を見守っていたかったくらいだった。
でも……。
「本郷もかねやすまでは江戸の内」