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しょうせつ えんちょう
小説 圓朝
正岡 容
線上閱讀正岡 容《小説 圓朝(しょうせつ えんちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 163,270 字 · 325 頁
悪意のうかがわれるお説教ばかり聞かされた。しっかりやれと自分のお盃を差してくれたあの日の師匠の思いやりある面差しなんか、薬にしたくももう見られなかった。
ひとえにそれが寂しかった、圓朝は。
こうしたひょんなことになっても、前にもいった通りお神さんは、嬢さまの年を老ったというだけのお仁だったから何をどう取りなしてくれるでもなかった。師匠の感情は水の高きより低きへ流るるよう下らなく悪化していくばかりだった。僅かにいよいよ上がっていく人気という五色の雲の中へひた隠しに身を隠して、その寂しさを忘れていた、なぜ師匠はいっしょにこの人気を喜んじゃくれないのかしらとしきりにおもいながら。
そのころ七軒町の裏店から、表店へ。
ゴミゴミした裏長屋から、明るい表通りへとでてきたことは、自分の人生もようやく裏から表へとでてきたようでうれしかった。
張り切っていよいよ圓朝は勉強した。
暇さえあると他の噺を、講釈を、猿若町の芝居へさえ、始終でかけてゆくようになった。そうしては自分の芸の明るく色好く「紫」たることをいやが上にも苦労し、工夫し、砕心してやまなかった。
論より証拠、日一日と圓朝の芸が、パーッと明るく派手やかになっていった、たとえればあのお正月の繭玉の枝々のごとく。