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しょうせつ えんちょう

小説 圓朝

正岡 容

線上閱讀正岡 容《小説 圓朝(しょうせつ えんちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 163,270 字 · 325 頁

青空文庫

……昨夜のことをおもうとき、圓朝の心の中はドンヨリと重かった。水温むといいたげないろをめっきり川面へただよわせてきているすみだ川の景色もきょうばかりは曇り日のよう暗く見えた。ホンノリとした青空さえが、果てしらぬ灰いろの帳りかと感じられた。

この私の近ごろの「芸」のいろいろさまざまと小手の利くようになってきたこと、一にそれは師匠の薫陶のほかにはないではないか。

雨降り風間、しょっちゅうそればかり考えない日とてはない私ではないか。

ほんとうに師匠なくして私にこうした「芸」の深さ苦しさ愉しさ、どうしてすべての秘密の分ろうよしが、あっただろう、それのみ心から感謝しているこの私ではないか。

犬一匹、松の木ひとつ、噺の中へどうやらそれらしく描きだすことができてきた、全くそれもまたみんなみんな師匠のおかげではないか。

そうして師匠は昨夜大そう怒んなすったけれど、現在師匠に教わらない我流の噺のこんなにも演れだしたということも、私のほうではこれ皆ひとえに師匠が丹誠の賜物とおもっているではないか。

なればこそ、急用あって四手駕籠へ乗り四谷の師匠の家の前を素通りするとき、ほんとうに師匠はしらないだろうが、いつも必ずこの私は、