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しょうせつ えんちょう
小説 圓朝
正岡 容
線上閱讀正岡 容《小説 圓朝(しょうせつ えんちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 163,270 字 · 325 頁
もちろん次郎吉の小圓太はいやだといった、槍ひと筋の家に生い立ちながら好んで落語家の仲間へ身を投じた父の圓太郎も決して廃めさせたがらなかった、むしろ本人が好きな道ならましぐらにその道をこそ歩かせたがった。
が、夫圓太郎の寄席芸人となったことすらいやでいやで耐らなかった女房のおすみは、何といっても聞かなかった。青戸の在の左官の妹でありながらおすみは、圓太郎とは比べものにも何にもならないほど凜とした気質のおんなだった。ここぞとばかり玄正の説に賛成して、次郎吉の小圓太を廃めさせようとかかった。
そのころの芸人の常とはいえ、しょっちゅう道楽をしてはその後始末ばかりさせているおすみの前、何としても圓太郎は頭が上がらなかった。
「道楽者は阿父さん一人でたくさん」
こうキッパリといわれると一言もなかった。
それには自分と一緒になる前、おすみが深川のほうの糸屋へ嫁いていて生んだ子の玄正にも、いい年をしててんで圓太郎は口が利けなかった。全体どこにも武家出らしいところのない、それ故にこそ、またかくも音曲師として世間から迎えられてしまったのだろう圓太郎は、武家とか出家とかそうした堅苦しい商売の者との応待が、この世の中で一番苦手だった。