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しょうせつ えんちょう

小説 圓朝

正岡 容

線上閱讀正岡 容《小説 圓朝(しょうせつ えんちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 163,270 字 · 325 頁

青空文庫

それにつけても今夜はちょいとこれの稽古をすませますから、ほんの少しそこで待ってて下さいとひと言そういってくれないですぐニコニコ大愛嬌でお客様を迎えてしまううちの師匠の上も、いささか怨めしくおもわないわけにはゆかなかった。

……ブツクサ呟いていることしばし、やっとのことで駕籠がきた。いっしょに家まできてもらって、てんで正体のない杉大門をかかえ込むようにして駕籠へ乗せ、そのあとお膳の片づけをして、やっと表の戸締まりをしにきた。

師走の空がよく晴れて、青い星がいっぱいチカチカまたたいていた。しきりにすさまじく凩が軒端を吹き抜け、通りのほうで犬が二、三匹遠吠えしていた。師匠の鼾がここまで絶え絶えに聞こえてきていた。

顔中を粒々に鳥肌立たせた小圓太は、土より冷たく凍てかえってしまった手で、やがて表の戸を閉めようとした。ちぢかんで、どうしてもおもうように閉まらなかった。

五

お正月の下席から思いがけなく小圓太は、文楽師匠から赤坂一つ木の宮志多亭へ借りられた。もちろん、前座としてであるが、それでも何でも嬉しくて嬉しくて仕方がなかった。骨身を惜しまず立ち働いた。