輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
しょうしょうしげもとのはは
少将滋幹の母
谷崎 潤一郎
線上閱讀谷崎 潤一郎《少将滋幹の母(しょうしょうしげもとのはは)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 83,234 字 · 160 頁
父がうしろを振り返ったら見付けられたかも知れなかったが、父の様子は、歩きつゝなお冥想に沈んでいるような工合で、いつの間にか館の門を出て、何かはっきり目指すところがあるらしく、すうっと歩いて行くのであった。
八十歳の老翁と七八歳の幼童の足であるから、そう遠くまで行ったのではないであろうが、それでも相当の道のりを来たように滋幹は感じた。彼は父からはずっとおくれて見え隠れに跡をつけたが、深夜の路上には親子の外に全く人影が絶えていたし、父の姿が遥かに白く月光を反射していたので、見失う恐れはなかった。路は、初めはいかめしい築地の邸がつゞいていたのが、だん/\みすぼらしい網代の塀や、屋根に石ころを置いた佗びしい低い板葺の家などになったが、それも次第に疎らに、ところ/″\に水たまりだの空地だのが多くなり、芒やその他の秋草が丈高く伸びていたりした。そしてそれらの叢にすだく虫の音が、二人が近づくとふっと止み、遠のくと又鳴き出しながら、町はずれへ行けば行くほど雨のようにしげく喧しくなって行った。そのうちに、家が一軒もなくなって、見渡す限りぼう/\と草の生えた中に、細い野道がひとすじうねっている所へ出た。