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しょうねんたんていちょう

少年探偵長

海野 十三

線上閱讀海野 十三《少年探偵長(しょうねんたんていちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 110,286 字 · 221 頁

青空文庫

まったく春木少年は、がっかりしてしまった。

もうなにをするのも、いやであった。自分のすることは何一つうまくいかないことが分った。彼はすっかりくさってしまった。

瀕死の戸倉老人が、いのちをかけて、かれ春木少年にゆずってくれた大切な黄金メダルの半ぺら! あれが、今ではもう彼の手にないのだ。

(お稲荷さまだから、どろぼうから守ってくれると思っていたのに……)

境内の木の根元に、うずめたのが運のつきであった。誰かがさっそく掘りだして持っていってしまった。

(きっと、あの祠に寝起している男にちがいない)

春木少年は、あれからいくどもお稲荷さんの崖にのぼって、裏手からそっと祠をのぞいた。だが、いつ見ても、破れござが敷きっぱなしになっているだけで、主人公の姿は見えなかった。

春木は、がっかりしたが、いくどでもくりかえしあそこへいってみる決心だった。

黄金メダルを盗まれたことも、くやしくてならない大事件だったが、それよりも町中にひびきわたった大事件は、牛丸平太郎少年がヘリコプターにさらわれたことだった。

なにしろ、そのさらわれ方が、あまりに人もなげな大胆なふるまいで、親たちも近所の者も手のくだしようがなく、あれよあれよと見ている目の前で、ヘリコプターへ吊りあげられ、そのまま空へさらわれてしまったのだ。