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しょうねんじだい
少年時代
幸田 露伴
線上閱讀幸田 露伴《少年時代(しょうねんじだい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 7,088 字 · 14 頁
父も兄も皆雪江先生に学んだので、其縁で小さいけれども御厄介になったのです。随分大勢習いに来るものもありました。男女とも一室で、何でも年の大きい女の傍に小さい男の児が坐るというような体になって居たので、自然小さいものは其傍に居る娘さん達の世話になったのです。私はお蝶さんという方を大層好いて居て、其方をたよりにばかりして居た。其方に手を執って世話を仕て貰うと清書なども能く出来るような気が仕た。お蝶さんという方は後に關先生の家の方になられた。其頃習うたものは、「いろは」を終って次が「上大人丘一巳」というものであったと覚えて居る。
弱い体は其頃でも丈夫にならなかったものと見えて、丁度「いろは」を卒える頃からででもあったろうか、何でも大層眼を患って、光を見るとまぶしくてならぬため毎日々々戸棚の中へ入って突伏して泣いて居たことを覚えて居る。いろいろ療治をした後、根岸に二十八宿の灸とか何とかいって灸をする人があって、それが非常に眼に利くというので御父様に連れられて往った。妙なところへおろす灸で、而もその据えるところが往くたびに違うので馬鹿に熱い灸でした。往くたび毎に車に乗っても御父様の膝へ突伏してばかり居たが、或日帰途に弁天の池の端を通るとき、そうっと薄く眼を開いて見ると蓮の花や葉がありありと見えた。