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おぜのむかしといま
尾瀬の昔と今
木暮 理太郎
線上閱讀木暮 理太郎《尾瀬の昔と今(おぜのむかしといま)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 7,599 字 · 15 頁
が世に送られたものとすれば、早田博士の名も尾瀬に取っては忘れてならない人であろう。
一言にしていえば、早田博士は植物の方面から、武田博士は専門外の文筆の方面から、大下画伯は絵画の方面から、尾瀬の風景を世に出した最初の恩人である。
更にもう一つ忘れてならない事は、湿原の研究に造詣の深い館脇農学士が「尾瀬をめぐりて」と題し、『山岳』第十九年第一号に発表されて、尾瀬湿原の過程を素人の吾々にも分りよく示された興味豊かな一文である。之に拠ると見た目には変ったとも思われない尾瀬の湿原も、刻々に変化の過程を辿りつつあることが知られる。尾瀬を口にする程の人の必読す可き文である。
尚お尾瀬の風致保存を叫んで、独力奮闘を続けていた平野長蔵翁がある。翁の主張は初め尾瀬沼附近の保護にのみ限られ、大正八、九年頃迄は、三条瀑を水力発電に利用し、尾瀬ヶ原を貯水池にするなどと言っていた。この考は後に其誤を悟ってか、ぷっつりと口にしなくなった。ともあれ尾瀬沼の保護者を以て任じていた其熱心は買ってやらなければならない。
明治二十二年の夏には、父に伴われて磐梯山破裂の跡をたずねての帰途初めて、二十七年の九月には、利根水源探検隊の蹤を趁って偶然にも、私は尾瀬の一部に足を蹈み入れた。