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したいとみんぞく

屍体と民俗

中山 太郎

線上閱讀中山 太郎《屍体と民俗(したいとみんぞく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 3,651 字 · 8 頁

青空文庫

即ち知る足利地方の七日晒しは、このウフイの蛮習が形式化されたものであることを。そしてこうした先住民族の間に行われた民俗が、今に各地に残存していることは決して珍しいものではない。その一例として次の如きものもある。

*

福島県平町附近の村々では、妊婦が難産のために死亡すると、その妊婦の腹を割き胎児を引き出して妊婦に抱かせて埋葬する民俗が、五六十年前まで行われていた。さらに愛媛県ではこうした場合には、胎児を妊婦と背中合せにして埋葬したと云うことである。妊婦の腹を割くことは産道が活力を失い、ここから引き出すことが出来ぬからだと聞いている。そして、こうした事はアイヌ族の間には、つい近年まで実行――勿論それは秘密ではあったろうが――されていたのである。近刊の「アイヌの足跡」と云う書によると、妊婦が産死した折には墓地において、気丈夫なる老婆が鎌を揮って死者の腹を截ち、胎児を引き出してから埋葬する。残忍なる所業は正視するに忍びぬと云う意味のことが記してある。これによって彼れを推すとき、内地の民俗がアイヌ族の残存であることが会得される。なおこの機会に言うて置くが、奥州の安達ヶ原の鬼婆とて、好んで妊婦を殺し胎児を取ったと云う伝説は、この民俗から出発していると云うことである。