輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
びょうぶはたたまれた
屏風はたたまれた
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《屏風はたたまれた(びょうぶはたたまれた)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 11,953 字 · 24 頁
た。
――そうだ、たしかにこの座敷だ。
弥十郎は座敷の中を眺めまわし、そこに立てまわした屏風の中で、千夜と二人、岸を洗う川波の音を聞いたことなどを思いだした。
――いったいこれはどういうことだ。
彼は暫くのあいだぼんやりと立っていた。
ゆきか千夜かが(もしも)来たなら、「たよりを待っているから」という伝言を頼んで、弥十郎は外へ出た。その帰りに、彼は堺町へ寄ってみたが、中村座の茶屋も「川西」とまったく同じことであった。ゆきという名も知らないし、弥十郎にも見覚えがない。これまで「そういう客に二階座敷を貸したような例はない」というのであった。そこへは二度しか来たことはないが、係りの女中はおしんといった。弥十郎のうちにも同じ名の召使がいるので記憶に残っていたのだが、訊いてみるといるというので、会ってみた。けれども出て来た女中は、顔だちも年齢もまるで違っていた。
「わたしはここに五年の余もいます」とその女中は云った、「ええ、わたしのほかにおしんという者はいません、五年このかたいたこともありません」
弥十郎はすぐにそこを出た。
こういう場合を、化かされたようだというのだろうが、弥十郎はそんな気持は少しも感じなかった。